うたプリlong夢

□あなたのために6
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【21話】










「聞いたかい? 今度みんなで南の島に行くって」




「あ、うん。林檎先生から聞いたよ」




「楽しみだね」






にこ、と微笑みかけられて高鳴る鼓動をごまかそうとして……私はそれを甘んじて受けることにした。






――――し、心臓壊れそうだけど……っ!



レンくんに対して揺れ動く自分の心を、ありのまま受け止めようとこの間心に決めた。

だってそうでないとレンくんに失礼だし、いつまでたっても答えが出ないから。









「た、た、楽しみ、って……私はパートナー決めないとっていうプレッシャーでいっぱいいっぱいなんだけど」






「え? ああ、そうか……」




レンくんは小難しい顔をして黙りこんだ。




―――くそう、ほんとにどんな顔しててもかっこいいんだから!




八つ当たりのように思いながら、「そういえば」と思い出す。




「また学園長が気まぐれ起こしたって言ってたよー、ダンスパーティーだって!」




最初それを聞いた時本気で青ざめたけど、自由参加と聞いて安心した。




「……嫌そうだね?」




驚いたように尋ねられて、私は大きくうなづいた。



「嫌に決まってるよー、だってそもそも踊れないし」



「教えるよ?」




「え!? い、いいよ! いい、いい!
 不参加だから!」





ぶんぶん首を横に振って丁重にお断りする。



だってそんなまさか!




―――――ドレス着れないし。持ってないし。





けどそんなことを口にすれば用意されそうで怖いからさすがに黙っておく。



「あ、ほら! 授業始まっちゃうよ、行こう!」





ごまかす様にレンくんの手を引いた。




「!」



「……なんで顔赤くしたの?」




ぼん、と真っ赤になったレンくんを不思議に思って思わず尋ねると、レンくんは困ったような顔ではにかんだ。







「……名無しさんが自分からオレの手を引いてくれるなんて初めてじゃないか」



「……」



これくらいで?



もっとすごいことしてたんでしょ、なんて喉まで出てきかけたけど慌てて飲み下す。




だってそんなの聞いてしまったら私もレンくんも互いに大ダメージだと思うし。














お見合い状態で赤い顔をしたまま固まった私たちに呆れたように声がかかった。









「……何をしているんだ、お前たちは」



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