うたプリlong夢

□あなたのために
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【1話】


「ぎゃん!」


どこから落ちたのかわからないけどとりあえずどこかから落ちたらしいと混乱した頭で理解した。



ぱちぱちと目を瞬いて見つけたのは涙をためた大きな目を見開いたブロンドの髪のかわいい男の子。

「えーと、こんにちは…」

へらりと笑うと彼は虚をつかれたように黙り込んで、ふと我に返って慌てたようにごしごしと目元をこすった。

「わ、わ! そんなにしたら傷ついちゃうよ!」

私は彼の腕を取ると慌ててその行為を止めた。
でも見られたくないらしく顔を精一杯背ける彼に苦笑する。




小さくても男の子だなぁ。





8歳くらいかな?




「大丈夫、見てないから。ん、ハンカチ使って」




ポケットから出したハンカチを取り出して彼に差し出すと、おずおずとそれを受け取って目元をぬぐう。



うん、素直でいい子だ!



「いい子だね、君!」



なんだかかわいさに感極まって彼を抱きしめる。




「わ!」





う……ん。
あんまり身長差がないのは私が小さいからだよね。

そんな風に若干凹みつつ彼のさらさらの髪を撫でる。




「……新しい使用人の人?」




「使用人?」



尋ねられて私は首を傾げた。




使用人なんているの、ここ?


確かに大きそうだけど。
ここ庭だよね、たぶん。
見る限りけっこうな豪邸っぽい。





「えーと、違うんだけどね。というかそもそもここがどこだかわからない、みたいな? それにしても君、髪の毛さらさらだねー、羨ましい」




「……お姉さん、変な人だね」





困ったように返されて私は苦笑した。
確かに私は今とてつもなく変な人だわ。

そんな風に思っていると背後から首元に何かをつきつけられた。

「……っ!」

え? 

何々?

これ……ナイフじゃない?


首筋にあたるひんやりとした感触に肝をつぶしていると、声が命じた。

「…そいつを放せ。でないと、命は保証しない」

「ジョージ!」

腕の中の小さな少年が声をあげる。
背後の人は「ジョージ」というらしい。

……外国人?

冷や汗を流しながらなんでもいいことを考えつつ、腕の力をゆるゆると緩めた。
というかこの二人どっかで見たことが……。


「無事か、レン」

「心配無用さ、何もされてないよ」

そのやりとりを聞いた私は視界がブラックアウトしそうな気分になった。


あれ……これってあれじゃない?
トリップってやつじゃない?









(世界の果てでこんにちは)
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