うたプリlong夢
□本質を見抜く人
2ページ/24ページ
【1話】
「名無しさん」
「お?」
呼び止められて振り向くと、そこには我がSクラスの秀才一ノ瀬トキヤがいた。
「体調、戻った?」
「ええ。……あの時は助かりました。ありがとうございます」
ぴんと伸びた背中が腰から折れて礼をされる。
「私が勝手にしたことだし、気にしないで」
手をパタパタ振っていると、彼はまじまじと私の顔を見た。
そして一言。
「……同じクラスだったんですね」
「……ケンカ売ってる?」
ちょー失礼!
そう言ってぷくりと頬を膨らませると彼はくすりと笑った。
その顔を見て(あ、笑うんだ……)なんて驚いて。
「呼び止めてすみませんでした」
「あ、ううん。じゃあ」
手を振って教室を出る。
何気に不思議な人だよなあと思った。
でもわかりやすい。
.