うたプリlong夢

□男気全開で君が好き1
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「……くそっ」





むしゃくしゃする。












わかってる。自分がショックを受けたんだってこと。






姉ちゃんが俺に気遣ってあんまり男の人と深い交際をしてこなかったのは知ってる。







だから今回はすごく真剣なんだろうなとも思う。







でも、俺は……姉ちゃんが本人を連れてくるまで何も俺にそんなそぶりを見せなかったことがショックだったんだ。




姉ちゃんの一番近くにいるのは俺だと思ってたのに。




たった一人の姉ちゃんを幸せにしてあげたいと思ってて、頼ってほしいと思ってて、年齢的に厳しいけどそんな風に思ってたのに。








中学三年生。


なんて不安定な年齢なんだ。



バイトして家計を助けることも出来ず、ただひたすらに家事と勉強を頑張るしかない身分。














そんな自分が歯がゆくて一番嫌だ。













コンコン。












「なぁ、睦月くん。俺と男同士の話をしないか?」









「……俺には話すことなんてない」












「いいじゃねぇか、ちょっとぐらい。なんだ、姉ちゃんを取られそうで怖いのか?」










さらりと核心をつかれて俺は思わずドアを開け放った。









「誰が! 怖いもんか!」






「そうか。そりゃ悪かったな」






にやりと笑ったその男がとんでもなく憎たらしかった。







俺の持ってない財力や背の高さや体のたくましさ、何より大人の余裕を持っているその日向龍也という男が。






「俺のとこに来ないで姉ちゃんと仲良くしてたらいいじゃないか」






「そういうわけにもいかねぇんだよな。名無しさんに条件を出されてる。お前が賛成しなくちゃこの婚約の話はなしになる」








「……そりゃ、ご愁傷様」













「そうやすやすと引き下がるわけねぇだろうが」










「っ!」








一瞬垣間見えたケンカ慣れした男の目つきや気迫に俺は言葉を引っ込めた。






肉食獣みたいなやつだな…。






テレビで見たままの正統派のさわやか俳優ってわけじゃなさそうだ。
















「ま、いきなり肩くんで仲良くしようとは言わないさ。ただ……おいおい仲良くなっていこうぜ」






に、と笑う笑顔は俺が好きだったヒーローと全く同じ顔で。













悔しいことにかっこいいと思ってしまった。













―――――


(「あ、龍也さん…睦月は……」)





(「ちょっとずつ距離を縮めていくさ。お前は何も心配すんな」)










家族になる第一歩。

2012/06/03
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