その他夢2
□息が、できない
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自室に戻って扉を閉めてから、その扉に寄りかかるようにして私はずるずると座り込んだ。
「・・・・・・ほんと、バカ。私が着いていかなかったら、戻ってこないつもりのくせに」
私と燕青は、この茶州府で出会った。
彼が茶州州牧に就任して以来の付き合いだ。
そのころからずっと、私は彼に片思いをしている。
お互いもう空気みたいな存在で、ちゃんとした言葉も、そういった行為もないけれど、でもどこかでつながっているのだと甘い幻想を抱いていた。
彼は、ここを出て行くつもりなのに、私を置いていくつもりだというその当たり前の事実。
「・・・・・・やっぱり勝てないのかな」
『小旋風っていうんだけどさ。すっげぇ美人なの! ま、触ったら切って殺されそうな感じなんだけどな、はは! あっこまで美人だったらいいよなぁ、俺はよくて熊だもんなぁ』
燕青の昔話に出てくる「小旋風」。
彼女の話を聞くたびに、胸の奥にちりつく痛みを覚えていた。
――――姿も知らない、恋敵。
私が彼女に勝てる日は来ないんだろうか。
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