その他夢2
□転換期として
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「それに新学期になっても今までみたいにリーマスと離れなくていいし」
「名無しさんは甘えん坊だね」
くすりと笑う貴方を一人置いて行きたくはなかった。
好きだから、寂しい思いはさせたくない。
「……それにスネイプ先生が脱狼薬を作って下さるわ。それがとっても嬉しいの」
「……セブルスにはとっても嫌がられそうだけどね。でも僕もそれには安心したよ」
脱狼薬を作れる人がいた。こんなに身近に。
でも一番うれしいことは貴方がこれ以上辛い思いをしなくてもいいかもしれないということ。
「……いままで育ててくれて、一緒にいてくれて、ありがとう。リーマス」
「おいおい。お別れみたいなことを言わないでくれよ、名無しさん。僕はまだ君をどこにもやるつもりはないんだよ?」
「えへへ。これからもよろしくお願いします」
「ああ、もちろん。……あれ?もう一枚あるよ?……」
「リーマス?」
突然顔を曇らせたリーマスに私は不安を煽られた。
何が書いてあったのだろう?
「……よく聞いてほしい。これからの一年を乗り切るのに必要なことだろうから」
「……何があったの?」
「シリウスが脱獄した」
私の喉が小さくひゅっと乾いた音を立てた。
私は名無しさん・名無し。
名無しは母の姓だ。母は母・名無し。父はシリウス・ブラック。
父は母が私を妊娠したと告げる間もなくアズカバンに投獄された。
……ヴォルデモートの右腕として。
母はそれを否定し、父を信じ続けた。そして私を生み、女手一つで育ててくれて……私が8歳の時に病気で死んでしまった。
それからリーマスに引き取られ、私はホグワーツに入学した。
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