遥か夢

□突き放したはずなのに
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実は身体の感覚なんて寒すぎてすでにない。
たぶん、このまま一夜明かしたら凍死できる。


「……あ、でも」



でも、泰衡さんが生きる道を確保してから追い出されたかったかも。




知ってたんだ。


私の生殺与奪の権利を、とっくの昔に泰衡さんが握ってるってこと。


わかってた。


自立しようとあがくわけでもなく、帰るために奔走するわけでもなく、望美ちゃんに会うために行動するわけでもなく、私はただ生かされるままに生きていた。



それで、幸せだった。














「あー、もう寒いなぁ……」

座り込んだのはいつだったかな?月が天に昇ってだいぶ経つ。その前だったか、後だったか……お尻から身体全身が冷えてしまって、身体が凍ったら血も凍るのかな、とかすこし考えた。









「……やすひらさん……」


それでも、いつか探しに来てくれるんじゃないかな、とか思ってみたりして。


泰衡さんか、もしくは泰衡さんに命じられた銀が迎えに来てくれるんじゃないかなとか思ってみて、私は目を閉じた。








そんなことはしないとわかってる。


泰衡さんは自分の行動に後悔をしない人だから。



















いつか、見れたらよかったのに。
泰衡さんが笑う顔。
私に笑いかけてくれる顔。


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