遥か夢

□籠の鳥にはできないから
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「……何をしている」


「あ、泰衡さん!遊びましょ!」










「……一人で遊べ」




「え、外に出てもいいんですか?」


「ダメだ」


「それって横暴……暇なんですってばー」


「知らん。部屋のなかでおとなしくしていろ」



「うー……」


 最近の泰衡さんはいままで以上にピリピリしてる。ずっと神経が立ってる感じ。
……大社たててるからかな?



 だから、泰衡さんを怒らせてまで外に出る勇気はないんだよ!


 でも金と遊ぶぐらいはいいでしょー?













「金、わんわん」


「わんっ」


 ……うん、それいがいに返事のしようがないよね……。


「……散歩に行きたくても無理だもんねぇ……」


「くぅん」


「ご主人様を説得してよ、金ー……」



「わん」



 がしがしと頭を撫でてみる。



 ああ、もうかわいいなぁ……。



「金?」



 金が、ふと顔をあげて耳をそばだてた。
 ぱっと立ちあがって……。










「え、ちょ!金まで私をおいていかないでよ!」



 さみしいじゃんか!



 走り出した金を追いかけようとして、ふと我に返った。






 でも部屋の前を離れたら怒られるかなぁ?











「……ま、いいかな?」



 追い出されはしないよね?




 そう考えて、すぐさま金の向かった方へと走り出した。

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