遥か夢
□子どものような
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「なぜ、お前がここにいるんだ?」
「え?銀が字を教えてくれるっていうから」
「……」
泰衡さんの執務室で、字を教えてもらうために、私は墨をすっていた。
「ん、これっくらい?」
「……少し薄そうですね。もう少しすっていただけますか?」
「りょーかい!」
「……」
「できた!」
「では、こちらが見本です、どうぞ」
「うん?銀が書いてみてよ、見とくから」
「私がですか?」
「うん。ダメ?」
銀って平重衡さんだったんだから、字もうまいはず、だよね?
「かしこまりました」
やっぱり!さらさらって、すごくキレイな字を書いてくれた。
「キレイ……私もこれっくらいキレイにかけるようになるかな?」
「はい、すぐに」
「がんばるね」
「ええ」
でも。
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