遥か夢
□聞いていい?
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「九郎!」
彼は私の大事な幼なじみだ。
「どうした?」
私を振り向いてくれる、その笑顔がすき。
「ね、ね、聞いていい?」
「なんだ」
「九郎のその髪ってね、なんでもじゃもじゃしてるの?」
「……」
それを聞いた時の弁慶と景時の顔!
「名無しさん、人には触れてはいけない部分というものがあるんですよ」
「あ、あのね〜、名無しさん。九郎にそんなこと聞いちゃだめだよ」
無言で去って答えてくれなかった九郎。
「もしかして、禁句だった?」
ずっと気になってたのに〜……
――――――――――
(触れてはいけない、それは心の奥にそっとしまっておくものだから)
でも気になるよ……誰か教えて〜……
「じゃあ景時が教えてよ、なにか知ってるんでしょ?」
「や、だめだよ!俺、知らないからね〜っ!」
「あ、ずるい!じゃあ弁……」
うちの軍師様は軍奉行よりも足が速かった……
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