遥か夢
□銀色の獣と胸の痛み
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「…………どうか、したのですか?名無しさん」
綺麗な顔に渋い色を混ぜて重衡が私の顔を覗きこんだ。
まぁなんて綺麗な顔!
まぁ見飽きてたりするけどね。
でも今は……なんか、ヤだ。
でも似てるけど似てないこの弟を「なんかヤだ」なんて理由で突っぱねることもしたくない。
だって重衡はあの人じゃないから。
「何もないよ、そんなに眉間に皺寄せると忠度さんみたいになっちゃうよ!やめなよ重衡!確かに渋くてかっこいいかもしれないけどまだ早いよ!」
御簾の向こうで人知れず涙を拭った忠度さんがいたとかいなかったとか。
ごめんね、好きだよ忠度さん!
おじ様万歳!
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