遥か夢
□銀色の獣と胸の痛み
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「あれ?」
思わず視界に入ってきたそれに声を上げた。
「おぅ、名無しさん!どうかしたのか?」
ある一点に気をとられていた名無しさんの耳に将臣の声が入る。
―――控えおろう!
将臣のくせに!
「ねぇ、将臣。あの可愛い子だれ?」
びっと名無しさんが指差す先に将臣が視線を巡らすとそこには彼の幼なじみの姿。
久しぶりに白龍の力でこちらに来たというのだからどうしようもない。ここにどう足掻こうとも帰れない人間がいるというのに。
「あー……その、な……」
言いづらそうにする将臣の姿に名無しさんはなるほどと頷いた。
彼女が龍神に愛されし神子か、と。
「そっか」
なるほど本気で可愛いぞ!
私が男なら絶対口説いてるね、うん絶対!
あ、でも今から性転換しても遅くないよね!
ってダメじゃん!
ここにそんな技術ないって!
いや弁慶さんなら黒魔術でも何でもしそうだけどさ!
九郎が新薬の実験台にされてるんじゃないかっていつも心配してるんですよ私!
まぁそんなことは置いといて、私ちょっと多分今ブルーな気分です。
。