遥か夢
□女の子の日
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まだこちらの世界に来て一ヶ月。ちょっとずつ慣れてはきたものの、やはり現代と違うところは多い。
…………これもまたその内のひとつ。
こちらの世界に慣れるので精一杯で、さっぱり忘れていた。
「…………お腹痛い〜…………」
部屋でごろりと横になってお腹に刺激がいかないようにじっとする。
じくじくとした痛みが下腹全体に渡り腰が抜けそうに痛い。
いつか来るものだとわかっていたのだから早めに聞いておけば良かったのに。
「あぁ…………景時さんに、謝らないと…………」
焦りすぎて酷いことをしてしまった。
アレが来てパニックになったところで突然景時が顔を出したから正常な判断が出来なかった。
しかも布団を捲れば血の地図が描かれているという状況に好きな人がいきなり現れて焦らないはずがない。
…………はた迷惑な話だ。
景時は何も悪くないのに。
「ん〜……お腹痛い……」
しかも血の気が足りないのか、やたら寒い。春なのに。これ以上痛むようなら弁慶に薬湯を作ってもらわなければいけないが、まだ恥が先行する。
布団をたぐりよせすっぽり被り小さくなった。
少し楽になって、名無しさんは夢の中へと落ちていった。
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