遥か夢
□苦手な人3
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その様子に友雅はおやと目を見張る。
「……私は、今先ほど土御門へ顔を出してきました」
「……なるほど、それで私にご立腹、といったところか」
やれやれと溜息をつき扇に乗った花弁を面から落とした。呆気なくもすぐに地に落ちる。……それはあの泰然として見えて全くそうではなかった少女のように呆気なく。
「……やはり貴方か!!」
「……確かめようと思ったのだよ、そうがなりたてないでくれ」
「泣きもせずに傷ついていたんですよ!?」
「……そうか」
自分以外に泣き顔を見せなかったのだということになぜか安堵を覚えた。
「ああ、そうだ。鷹通、疑問だったのだが」
話を逸らすようにして問いかける。
「君が彼女を信じたその理由とは、一体なんだい?」
「……貴方を見る目と、表情です」
「……?」
「彼女の何を信じられずとも、貴方に対する好意だけは、信じられると思った、ですから」
「なんだって?」
「え?」
「私に対する好意があったと?君は恋愛下手だからね……」
これだから、と言わんばかりの友雅の態度にかっと鷹通の顔に朱が上った。
「分かっていないのは友雅殿の方ではありませんか!!他の八葉の方々もみんな言っていた、どうして貴方が気付かないのと!!……あるいは気付いた上で拒絶しているのかと」
激高した鷹通にも驚いたが、その言葉の内容にも驚いた。
私だけが気付かなかった?
いや違う。……気付かせてもらえなかった?
さっと血の気が引く。