遥か夢

□うっとうしい!
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「高杉さん」



「なんだ…、……!」



「うーん…」



「……なんの真似だ?」



「いやぁ、すごくうっとうしくって」








 怪訝な顔をする高杉さんの前髪をちょいちょいとよけると、意志の強そうな瞳と出会った。
 こうしてるとすごいキレイな目だってわかるんだけどな。




「名無しさん! お前……女子がそんなに距離をつめるなど…はしたないぞっ!」



「だってさ、チナミ。都も言ってたけど、八葉ってみんなうっとうしい髪してる人ばっかなんだもん」



「……うっとうしいうっとうしいとうるさいぞ」



「言われるのがいやだったらきってよ」



「何故だ?」



「チナミと総司くんはまだいいよ? アーネストも。でも他の人たちはみんな前髪がうっとうしいのなんのって!」



「……」



「特に気になるのが高杉さんなんだよねー」



「……触るな」



「ごめんごめん」



ぱしりと手をはじき落とされて、私は大人しく彼との距離を取りなおした。




「もったいないよー。ちゃんと見えたらすっごいキレイな目してるってわかるのに」



「! ……わざとか?」



「へ? 何が?」






「……」





「……苦労するなぁ、晋作」



「……うるさいぞ、龍馬」





「高杉さんって、けっこう子供みたいに笑うよね。そういうとこ、かわいくていいと思う」




「男にかわいいという言葉を使うな」




「でもほんとにそう思うし……」



「だから……!」






「私、そんな風に笑う高杉さんのこと、けっこう好きだよ」






「……」



「……晋作、顔が真っ赤だぞ」




「……うるさい、龍馬」













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恋人未満


2011/3/11
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