乙女ゲーム夢2
□コスチューム
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「これ、新しい衣装なんですって。どーですかぁ?」
にっこりと微笑まれて、私はその衣装の威力に言葉を詰まらせた。
「名無しさんちゃん?」
きょとんと見られてうっと詰まる。
「……に、あってるよ」
そう、似合わないわけがない。
だってなっちゃん身長高いし、足長いし、顔立ちだって整ってるし。
ただ――エロい。
なんでこの衣装こんなエロいの?
え、エロいって感じる私がおかしい?
そうか私がおかしいのか?
うんうん唸ってると下から顔をのぞきこまれてさらに顔が上気した。
「……っ」
「……」
目をぱちぱちと瞬かせたなっちゃんになんて言葉を返せばいいのか戸惑っていると、なっちゃんがきゅっと唇を釣り上げた。
「……どうかしたんですかぁ?」
「い、や……うん。なんでもないの。なんでもないんだよ?」
そろりと視線を逸らしてなんとかこの場をしのごうとするんだけど、なっちゃんは優しくも強い力で私のあごをくいっとつかんだ。
ぺろりと自分の唇を舐めたなっちゃんに心臓がバクバク音を立てた、
「……興奮、したんですかぁ?」
「……っ!」
いつもと違って大人びた表情に色気のある眼差し。
それが衣装と相まってこれ以上ないほどの破壊力を生み出して、私の心をとらえた。
しかもその目。
その目は……合図だ。
「ぅ、ん……っ!」
首筋に唇が触れ、滑らかさを楽しむように食む。
それにびくりと体を震わせると、体のラインをなぞるように大きな手で腰や背中を撫でられる。
「ちょ、待ってなっちゃ……っ」
「待てません……名無しさんちゃんが悪いんですよぉ?」
「な……っ!」
逃げられないように腰を掴んで床に膝をつくと、なっちゃんが上気した顔で私を見上げた。
帽子からちらりと覗く瞳はすでに熱を孕んでいて。
赤く濡れた唇が色気を垂れ流していた。
「ぁ……っ!」
スカートの下に滑り込んだ手が悪さをする。
びくりと腰を震わせていると、くすりとなっちゃんが笑った。
「ほら…もう興奮してる……名無しさんちゃんが、僕のことをそんな目で見るから、僕も欲情しちゃったじゃないですか……」
覚悟、してくださいね。
再び自分の唇をぺろりと舐めたなっちゃんを、私は力の入らない腕で抱きしめた。
――――――――――
(「よ、汚れてない……?」)
(「大丈夫ですよぉ? でも汚れてても僕はそのまま着ますけどねぇ。だって名無しさんちゃんとのせっかくの……」)
(「ぎゃああああ! やめてなっちゃん自重してぇ……っ!!」)
(「ふふ。はぁい」)
(「(……天然って怖い)……っ!」)
2012/5/26