アリス夢
□嫉妬させたくて
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「名無しさん、頼む! このとーりだ!」
「この通りって言われても……」
パンッと両手を合わせて頼まれてもなぁ……
「ブラッドを起こしてきてくれ! 名無しさんなら大丈夫だから!」
「何を根拠にそんな……ブラッドのプライベートルームに入ったことなんて一度もないよ?」
こういうのはアリスの役割だよね。
「頼んだぜ!」
「え!? ちょ、エリオット!?」
ずるくも言い逃げしてエリオットは私に背を向けて駆け出して行った。
「ず、ずるー……」
止める間もないまま取り残されて私は呆然と立ちすくんだ。
いやいやいや、誰も了解してないし。
放っておくこともできるけどそんなことしたら誰かが迷惑をこうむるんだろうと思うとそれも出来ない。というか「なんで起こしてくれなかったんだよ」って言われていけしゃあしゃあと「だって誰もわかったって言ってないもの」なんて返答できない。
「うう…」
諦めが肝心ってこういうことですか…。