乙女ゲーム夢3

□ずっと一緒
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カレンダーを見ながら、なんだか感慨深い思いにひたっていると背後に気配を感じて、振り向く前に肩にアゴが乗った。




「カレンダーじっと見て、どうかした?」




「んー、今年が終わって行くなぁと思って」



「もう年の暮れだもんねぇ。お店も今日から三が日終わるまでお休みだし」



ある程度片付いた店内を見回した結城さんに頷きながら私はもう一度カレンダーに視線を戻した。



「なんていうか、一日一日が終わって行って来年がやってくるんだなって。寂しいような待ち遠しいような不思議な気分」



「俺はやっと休みの取れたのが待ち遠しくて仕方がないなー」



若干肩を落としてそう言った結城さんに思わず噴き出した。



ここ最近躍起になって社長職の事務処理を片づけてたのを知ってるから余計に結城さんの様子が真に迫っておかしかった。



「私も、結城さんに構ってもらえる日が早く来ないかなぁって指折り数えて待ってました」




「え…」




にこと笑いながら告げた言葉に結城さんが面喰ったように動きを止めて、そして恥ずかしそうに顔を赤らめた。



「あーもー、ずるいなぁ……なんって可愛いこと言うんだろうね、君ってば!」



「わっ」




広い胸にすっぽりと抱きしめられて私はその安心感に頬を緩めた。




「今日からのお休みはぜんっぶ君のためのものだから……年越しそば食べておせち食べて初詣には行こうね。他にも要望があれば何でも答えるから」




「ほんと?」


「ほんとほんと! あー、と」



「?」


急に歯切れの悪くなった結城さんを見上げたら、ほんの少し恥ずかしそうな目で私を見下ろした。




「それと、ね。来年も再来年も・・・・・・この先ずっと俺の隣で新年を迎えてほしいなぁ、なんて、さ」



「え」



今度は私が虚をつかれたように動きを止めた。



「一応、プロポーズ…」




照れ臭そうに四角い箱を懐から取り出した結城さんに、胸に熱いものがこみ上げるのを感じた。




お洒落なレストランとか、綺麗な夜景とか、雰囲気のある場所じゃない。



でも結城さんの夢だった花屋さんの店内で、二人きりの時に切り出されたそのプロポーズを―――嬉しく思わないわけがなくて。




「・・・・・・よろこんで!」



涙のにじむ視界で、それでもにっこりと笑って指輪を受け取ると、もう一度力いっぱい抱きしめられた。








(来年も、再来年も、この先ずっと)


2012/12/28

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