うたプリlong夢
□あなたのために7
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【25話】
一人になるのが怖くて、やっと出会えた彼女がいなくなるのが怖くて縋り付いてしまった。
でも彼女は悲しそうな顔をして困惑するばかりで、オレに対して返答してくれることはなかった。
「遅かったな。……どうかしたか?」
「……聖川」
「顔色が悪いぞ。何か、あったのか?」
「……」
心配してくれている。
それが嫌というほどにわかって、オレはソファに腰掛けて両手で顔を覆った。
きっと今、情けない顔をしてる。
「……」
聖川に泣き言を吐いても仕方がない。
どうしようもない。
わかってはいても、オレは……。
「名無しさんが、オレの曲を作ってくれるって言ったんだ……この南の島が、最後のチャンス、だったろう……?」
「……よかったじゃないか。なのにどうして、そんな顔をしている?
……お前、昔「名無しさんがいなくなった」と泣き腫らしていた顔と同じ顔をしているぞ」
「……っ!」
「……彼女はまた、どこかへ行かねばならんのか?」
「……わからない」
泣きそうになりながら頭を振ると、聖川がぐっと眉間にしわをよせた。
「……情けない顔をするな!」
「! ……聖川」
「お前がそんな顔をしているということは、何かがあったんだろう?
そしてお前は今不安になっていて……きっと名無しさんさんも不安になっているのだろう」
「ぁ……」
なんてことだ。
オレが、こいつに指摘されるまでそのことに気づかないだなんて。
「お前も不安かもしれんが、男なら、名無しさんさんを支えてやれ」
「……最近、いいアドバイスをよくくれるな」
くすりと笑って礼にもならない礼を言うと、聖川は小さく鼻を鳴らした。
「一言余計だ」
「そうか」
ゆるく首を横に振って、オレは部屋から見える月を見上げた。
――――頼むから。
オレから、もう二度と、彼女を引き離さないで……。