その他夢
□実はあなたが
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「おーおー、モテる男は辛いねぇ」
「見事にドンパチかましてるみたいだね」
麻衣と真砂子と、そこに綾子までが加わってばちばちと火花を飛ばしてる。うーん、涼しい顔して仕事してるあの子は自分を巡ってあんな状況になってるって知ってるのか?
……知ってるけど面倒だから放置してるんだろうなぁ。
「おじさんは見向きもされない……よよよ」
「あはは! ぼーさんってば演技上手いんだから」
笑い飛ばすと、ぼーさんは不思議そうな顔をして私を見た。
「そういや嬢ちゃんはナルにはなびかねぇの?」
「私? ナルに? うーん、学者バカなのでね、あの子。それに私の方が年上なので」
「綾子見てみろよ。あいつ年甲斐もなく、だぜ?」
「バレたら殺されるよ? ナルの人柄は別に嫌じゃないんだけどね、知りすぎてそんな風には思えないの。それに私は大人の包容力がほしいのですよ」
「お! んじゃあリンとか?」
「……んー、違う」
おしい、と言いかけてあわてて口をつぐんだ。
そんないい方してどうする、自分。
「じゃあ……俺とか?」
どこかからかうように吐き出された言葉に、私の顔は素直に赤くなってしまった。
――――――――
「え、まじ?」
「……」
「えーと……じゃあ、デートにでも行きますか?」
「……い、行く」
「顔真っ赤にしてかわいー」
「うるさい……!」
「いやー、おじさんいますごく幸せ」
「うぅ……」
「……俺もちっとは緊張してんだぜ? 冗談だったのにまさか肯定されるとは思ってなかったからな」
「……ぼーさんが一番かっこいいと思う」
「……それ殺し文句なんだが」
end