乙女ゲーム夢2

□優しい居場所
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この世界に来て初めて恋を知った。


この年になって、初めて。


彼が私を愛してくれたら……帰る場所になってくれたらどれほどうれしいだろう。私は自分の気持ちのおもむくままに彼に告白をしてしまった。



彼は困った顔をして、それから少しだけ笑みを浮かべて「俺でいいのか」って聞いた。それに一も二もなくうなづいて「あなたがいいの」といった。




それから彼は…私の恋人になった。
















「左之さん!」



「おう、行くか」



 ああ、今日もかっこいいなぁ……。


 しぐさを一つとってもかっこよくて、私はときめきながら彼の隣に立った。





 高い身長、大きな手、広い背中、優しい笑顔。




 世の中の人たちみんなにこの人が私の恋人なんだって見せびらかしたいような、そっと仕舞い込んでおきたいような気分で一緒に歩く。




 左之さんはたまに私とデートをしてくれる。といっても左之さんが非番の日に私が誘うんだけど。でも永倉さんたちとの付き合いもあるからいつも私に付き合ってくれるわけじゃない。そんなときは私は養父の近藤さんと一緒に過ごしている。












「お、あの着物お前に似合うんじゃねぇか?」




「え? どれ?」 



「あれだよ、あの紺色の」




「ほんと?」




「ああ。お前色が白いからな。映えると思うぜ」




「ふふ」





 そんな風に言ってもらえるとうれしい。


 私が笑うと左之さんも笑みを返してくれる。そんな風なやりとりをこれからもしていって…そしていつか夫婦になる日も来るのかもしれない、なんて……私は甘い幻想を見てしまっていたんだ。




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