アリス夢
□ケスクセ?7
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「どこに行くんだ?」
「どこにも行かないわ、ただ座りたいだけ」
最近この会話しょっちゅうしている気がするのが気のせいではないのはむつりとしたナイトメアの顔が証明してくれるだろう。
最近グレイはなにくれとなく私の世話を焼こうとする。
忙しいはずなのに。
……しかもそれを申し訳ないと思いつつも嬉しいのだから困ったものだ。
―――そう、嬉しい。
グレイは元来が人を気遣うことのできる性格だから何かと接することが多くなってもうっとうしくはないしむしろ心地いい。
まるでどこかのお嬢様にでもなった気分だ。
そして私は本来誰かにかまってほしい性質なのでグレイの行動の変化は私に安心感を与えてくれた。
これ以上ないほどに。
けれどもその真意が測れないものだから同時に不安になるというのも本当の話で。
「名無しさん、少しナイトメア様を任せてもいいだろうか?」
「どこかへ行くの?」
「この書類のことで指示を出してくる」
「ああ、ええ、分かった。いってらっしゃい」
グレイが出ていくのを見届け、ふぅとひとつ息を漏らすとすかさずナイトメアから一言入った。
「いったいなんなんだ、お前たちは」
「……さぁ?」
グレイがどういう意味合いでこんなことをしだしたのかなんて私は知らない。
ナイトメアはじっとその一つの瞳で私を見つめた。
「グレイが重いか?」
「は?」
重いか、って聞かれた?
「重くは、ないと思うよ」
「……だが疲れているだろう?君は」
「……疲れてるけど、疲れるのと重いのはイコールじゃないわ」
「そうか、そうだな。……君が疲れているのはもっと違う理由だ。もっと……」
「……やめてよ、ナイトメア」
「……」
「今の私にはあなたの能力を突きつけられることが、いたいの。でも」
「でも、心配してくれてありがとう」
本当にありがとう。
あなたがいてくれることが、私の存在を助けてくれる。
「君が、それでいいのなら……」
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