アリス夢
□ケスクセ?2
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「……?」
目が覚めた途端違和感に襲われて、飛び起きたものの視線を向けた先には大柄な男の人。
青い髪と金の瞳が印象的なその人。
しばらくその人に警戒した目を向けられていたけれど次第に彼の瞳から強い光が抜けピリピリとした空気がおさまった。
「君は余所者か」
疑問でもなんでもないその問いかけにいつかのブラッドとのやりとりが蘇る。
そう。
私は余所者。
でも。
アリスも余所者。
「……貴方誰?」
「グレイ。グレイ・リングマークだ」
ぐれい、と口の中で転がしてことりと首を傾げる。聞いたことのない名前だ。
「グレイ、は……」
どこの人、と聞こうとしてこれが果たして正しい尋ね方なのだろうかと頭を捻った。しかし彼は先回りをして「ああ」と一言。
「俺はクローバーの塔の者だ」
「クローバー……」
どこだ、それは。
そんな場所聞いたことがない。
このハートの国で。
「引っ越したんだ。ここはクローバーの国だ」
「引っ越し?」
日常だと思っていたものが、
どんどん私の目の前から逃げていく。