オリジナル小説もどき
□猫
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シロネコのルキアは木更の腕にパクリとかぶりついた。
痛くないようにあむあむする。
身があまり入ってないので少し物足りないが、塩が効いていていてなかなか美味しい……。
すると、こら、と軽く頭をこづかれた。
「食べるな!汚いだろ?」
「う?」
ルキアはしばらく考えてスッと立ち上がった。
諦めたか、とホッとしていると、ルキアはすたすたと洗面所へ行った。
「?」
木更が見ていると、ルキアは濡れタオルを持って戻ってきた。そのタオルで木更の腕をごしごしと拭き始めた。
「る、ルキア?」
「よし!」
何がよしなのか。
「これでもう汚くないよね?」
にっこりと満面の笑顔でそう言うともう一度木更の腕にパクついた。
がっくりと肩が落ちて脱力した。
―――そおじゃないだろ……。
「だぁめ」
今度はこづくのではなく押しのける。
するとルキアははっとしたように洗面所へと駆けて行った。
水の流れる音がして、木更は先ほどルキアがみせた傷ついた表情に少し後悔した。腕くらいあむあむさせてやればよかった。
―――しかし。
ぱたぱたと戻ってルキアはイ――ッをした。
「きれいになった?ぴかぴかにしてきたよ!」
そう言ってまたパクリとする。
これ以上ないほど脱力して、木更は諦めた。大人しく腕を差し出す。
……ルキアのその行動は日が暮れるまで続いたのだった。