金色のコルダ夢
□好きだけじゃ満たされなくて
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学内セレクションが始まるって聞いて、正直他人事だなんって思った。
だって音楽科にしか関係ない話だと思ってたし。
けど、同じ普通科から参加者がいるって聞いて驚いて、でもそれも関係ないことだなって思った。
「梁?」
「ん? ああ、名無しさんか」
片手をあげて近づいてくる梁と噂の有名人を見て私は首を傾げた。
「梁、日野さんと仲良かったっけ?」
「ああ、まぁ、ちょっとな」
「ふぅん?」
首を傾げつつ梁の顔を見上げると、髪をぐしゃぐしゃと撫でられた。
「わっ、ちょっともうっ」
「大丈夫だよ、くしゃくしゃでもかわいいからさ」
「……っ!」
梁はずるい。
―――そんな風に突然私のことを甘やかすから。
本当にかわいいのかと思っちゃうじゃない。
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