乙女ゲーム夢4
□真実あなたを2
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「ねぇ、芳樹さん。今日はお刺身よ」
「わ、美味しそうだな。嬉しいよ」
目元を和ませた芳樹さんに私も微笑んでご飯の支度を進めた。
なんとかお父様とお母様を説得して、百合子は斯波さんと結婚することになった。
そこがくっついたから私と芳樹さんの仲を許してもらえることにもなったのだけれど。
そして私たちはとある港町に住居を構えた。
潮の香りのする、人の温かみの残った街に。
「きゃ・・・!」
「久し振りだな、この感触」
「もう、突然危ないじゃないっ」
体にぎゅっと腕を回されて、すんすんと首筋を嗅がれた。ぺろりとそこを撫でる舌の感触に腰がぞくりと震え、甘い疼きが湧き上がってきた。
「も・・・・・・駄目。まだ、早いんだから」
「残念。でも、疼いただろ?」
「もう!」
悪戯めいた瞳で笑う芳樹さんに恥ずかしくなって怒ったふりをすると、芳樹さんがくすくすと笑いながら私の手を防ぐと唇に接吻した。
「ん・・・・・・じゃあ、久しぶりにあなたの体を味わうのはもう少し後だなぁ」
嬉しそうに普通の顔で笑う芳樹さんに胸がきゅんとする。
――――芳樹さん、好きよ。
たとえあなたが私にすべてを話してくれなくても。
たとえ私があなたにすべてを話さなくても。
「・・・・・・寂しかったんだから、離れていた分かわいがってね」
「! あはは、うちの奥さんはなんてかわいいんだろうね・・・・・・うっかり、ご飯を食べる前に食べたくなったよ」
「んぅっ」
艶のある笑みが見えたと思った一瞬あとに唇が塞がれて、口内を熱い舌に蹂躙される。
唾液が唇の端からあごを伝って落ちていく感触にぶるりと震えつつ、私は芳樹さんの服を震える手でつかんだ。
あなたが、好きよ。
「・・・・・・好きだ。愛してるよ、名無しさん」
唇が触れるくらいの位置でそう告げられて再び唇が重なった。
その口づけに酔いしれながら、私は今日も愛し続けるの。
2013/01/14