短い小話+ブラコン夢
□いつかこの気持ちを
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女王候補が選ばれた。
女王試験に名を連ねるのは三名。
アンジェリーク・リモージュ。
ロザリア・デ・カタルヘナ。
そして――――。
「あー、名無しさん。あなたはもう少し肩の力を抜いていいのですよ。呼吸を楽にして、周りをゆっくりごらんなさい」
子供を諭すようにそう言ったルヴァ様の言葉に眉にしわが寄るのをかろうじて堪えた。
「・・・・・・」
ロザリアのような気高さはなく、アンジェリークのようなまっすぐさもなく、私には何があるのだろうか。
そう思えば思うほど劣等感が否応なく募っていく。
劣等感を失くすことのできない私が女王候補に選ばれた意味とはなんなのだろうか。
ルヴァ様に諭されることも、自分が本当に足りていない人間なのだと思い知らされる。
――――帰りたい。
もう、帰る場所などどこにもないのに。
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