短い小話+ブラコン夢
□宜野座伸元
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「・・・・・・伸元」
ぴりぴりした様子を見せる恋人の背中にえいっと後ろから抱き着いた。
警戒心が強いように見えてけっこう隙だらけの男はその時も意識ここにあらずだったようで思い切りよく肩を跳ね上げた。
「っ!!」
「私のこと忘れてたでしょ?」
恨みがましくそう言うと無言が返された。
何か怒らせただろうか。
顔を覗き込もうとすると腕の中の体の熱が上昇するのが分かった。
「・・・・・・当たってる」
「ん?」
何が?
「だから! 当たってると言っているんだ!!」
本気で恥ずかしそうに、耳まで真っ赤にした伸元の言葉に、ああ、と合点する。
「胸が」
当たってるんですね?
「な・・・・・・もう少し恥じらいを持てと言っている!!」
―――――かわいいなぁ、もう。
いい年をした大の男が、胸が背中に当たるくらいでこんなに焦るだなんて。
お父さんはどういう育て方をしたのかなぁ。
ああ、でも。あの人も赤くなって照れそうだ。伸元ほどいい反応はしないだろうけど。
「この……っ」
「っ!」
ぐいっと引き寄せられてたたらを踏む。
そのまま腰を抱かれ、気づけば伸元の膝の上にいた。
「・・・・・・軽い。ちゃんと食べているのか?」
「軽くないよー…軽かったら胸ないでしょ、普通は」
「! そ、その話はもういい!」
一気に赤くなる顔。
ベッドの中では逆に攻め立ててくるというのに。
「・・・・・・好きよ、伸元」
少し伸びあがってその頬に口づける。
大好き。
そう、想いを込めて。
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