三国恋戦記夢
□姫と野獣
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「お前はあいつのどこがそんなに気に入ってるの?」
普通の顔をして尋ねられて私はお茶にむせてしまった。
「兄様、そんな、突然……っ」
自然と顔が熱くなる。
きっと今私は真っ赤なのだろう。
「だってこんなに俺の妹はかわいいのに。どこのやつにも引く手あまたなのに。いっそ俺が奥さんにしたいほどなのに」
「……兄様に愛していただいて光栄です」
「でしょ? でもそんなお前なのにどうして元譲が好きなのさ?」
「す、好きというわけでは……っ!」
「俺に嘘はつけないよ?」
「うぅぅ……っ」
拗ねたような顔をする兄様に私は小さな声で告げた。
「約束をしたんです」と。
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