その他夢2
□好き、だけど
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私と堂上くんが付き合い始めたのはいつだったかな、と思い出したのは何の予感だったんだろう。
私は今、堂上くんに振られてしまうんじゃないかといつも怯えている。
他に誰もいない事務所の中でかりかりとシャーペンを動かし続ける堂上くんの横にコーヒーを置いて、私はぽつりと漏らした。
「…堂上くん、甲斐甲斐しいね」
「うん? 何がだ?」
きょとん、と不思議そうに首を傾げられて私は机に向かう堂上くんの隣でコーヒーを飲みながらゆるく首を横に振った。
――――笠原さんの試験対策とか、いろいろ。甲斐甲斐しいなぁ。
ちくちくと痛む胸を知らないふりして、普通の顔をしてコーヒーを飲みほした。
砂糖もミルクも入ったはずのコーヒーは、なぜか何の味もせずにひどく通りにくく喉を流れていった。
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