その他夢2
□転換期として
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「え?ホグワーツの教師!?」
山奥の小さな小屋に少女の驚きの声が上がった。
「あ、ああ」
いまだ茫然とした同居人・リーマスの手からホグワーツの印が入った手紙をひったくって中身を確認する。
……何回読んでみてもそれはホグワーツの「闇の魔術に対する防衛術」の教授に任命するという辞令が書いてあるだけだった。
あとは私の新学年の授業で使う教科書のリストだけ。
「リーマス!!やったじゃない!!」
喜びを隠しきれずに私は勢いよくリーマスに抱きつく。
ソファに座っていまだショック状態から抜け切れないリーマスは片手で額を覆った。
「……僕が教授だって?」
「やっぱりダンブルドアだわ!良かったわね、リーマス」
「……しかし僕は……君も知っているだろう。人狼なんだ……」
きっと嬉しいだろうに喜びきれないリーマスに一瞬悲しくなったがそれを押し殺し笑みを浮かべて彼の少しやつれた頬を撫でた。
「でもあたしはリーマスに危害を加えられたことなんてないわ」
「それは君だけだったからだろう?……?」
「あれ、ふくろう?」
この小屋にフクロウが来ることなどほとんどないというのに、今日は珍しい日だ。
「手紙咥えてるわ……あ、れ?」
「どうかしたの?」
「……リーマス、やっぱりダンブルドアは偉大だわ」
手紙の中味を確認した私は顔が綻ぶのを抑えきれずに彼に手紙を渡した。
こんなにリーマスのことを考えてくれている人がいるということが嬉しくて仕方がない。
「名無しさんどうしたんだい?」
「・・・・・・嬉しいの」
「?」
「とっても嬉しいわ、リーマス。私とっても嬉しいの。だってリーマスはホグワーツの教師になれるわ。とってもあってる。いい先生になる。私が保証する」
「……そうかい?ありがとう」
一枚目の手紙を確認したリーマスはやっと安心したらしく、くしゃりと笑み崩れる。
―――その笑顔が好き。
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