短い小話+ブラコン夢
□宜野座伸元2
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ふと目が覚めて。
わずかなベッドサイドの灯りに照らされた腕の中の名無しさんの顔。
そして温もり。
安堵して、さらに身を寄せた。
『執行官になってからの方が伸元の髪、ふさふさしてる』
嬉しそうな笑顔でそう言った彼女。
同じ話題を前にしたときには、傍に親父も、狡噛もいた。縢も。
それなのに今は・・・・・・。
ぎゅっと目をつむる。
胸に去来したのは虚しさか、遣る瀬無さか。
後悔したって、惜しんだって時は戻らない。
だから今を、大切にしたい。
「・・・・・・愛してる」
躊躇いなく口から出せるようになった。
けれど、だからといって軽い気持ちで口に出しているわけでもない。
「愛してる…名無しさん」
執行官になった時、離れようとしたのに。
泣いて引きとめた名無しさんが愛しくて。
『執行官だってなんだって伸元は伸元だもん……っ!』
そう言いきった彼女の語気の強さに今でも笑いが漏れる。
「・・・・・・俺はお前が愛おしいよ」
2014/12/01