三国恋戦記夢
□愛を囁く資格が欲しい
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「名無しさん、孟徳さんにすごく気に入られてるよね」
花茶を淹れながら花にそんな風に言われて首を傾げた。
「そう、かな? 確かにすごい気遣ってくれて有難いけど……」
確かに嫌われてはないと思う。
「優しい人だよね」
「う、ん・・・・・・」
花の笑顔が曇って、それから取り繕うように笑顔を浮かべた。
「あの、そういえば。玄徳さんたちは元気? 芙蓉姫や雲長さん、翼徳さん、師匠は・・・・・・」
「元気、だよ」
玄徳さんの顔がまぶたの裏に浮かんで胸がきゅっと痛む。
なんでだろう。
どうして忘れられないんだろう。
こんなに離れたのに。
離れれば忘れられるかもしれないと思ったのに思いは募るばかりで。
――――会いたい。
会えば辛いとわかっているのに会いたい気持ちがなくならない。
会いたい。
顔が見たい。
声が聴きたい。
頭を撫でてほしい。
一緒にいたい。
それはごまかしようのない自分の偽りない気持ちで。
「・・・・・・花」
「うん?」
「・・・・・・もうちょっとしたら、玄徳軍に帰るね」
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