三国恋戦記夢

□愛を囁く資格が欲しい
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花に会いに孟徳軍に行く。




同盟を結んだ今となっては難しいことではないものの、やはり反対された。





「・・・・・・いつ帰る?」





「・・・・・・」



どうしてそんな切なげな目をするのだろう。


それとも自分の願望がそう見せているのだろうか。




「名無しさん」




どこか焦ったような声が名前を呼んでどこか縋るように私の腕を掴んだ。


そんな風にされると少しは好かれているのだろうかと勘違いをしそうになる。




「俺は最近お前が心から笑った顔を見ていない。いつも物悲しげに俯く顔しか見ていない。何か気鬱になる原因があるのなら言ってみろ。出来るだけのことはする」




「・・・・・・私のことなんて」





「うん?」




返事をする姿勢を見せた私に玄徳さんはややほっとした表情を見せた。でも。





「玄徳さんには他に心を砕かなければいけない人がたくさんいるはずだから。私のことなんて、放っておいたらいいんですよ」




わずかに微笑んで。



笑えているだろうか。




「山の中で拾った私のことなんかより・・・・・・尚香様を、大切にしてあげてください」





―――――嘘だ。




私はなんてうそつきだろう。





尚香さんより私を見てほしい。


私を気遣ってくれる玄徳さんの気持ちが嬉しい。



さらりと私が出て行くのを見送られるのでなくてよかった。




・・・・・・でも。




同じだけ、気遣われることがつらい。



彼はもう他の人のものなのに。





「・・・・・・放っておけるわけがないだろう」




掠れた声で、低く呟かれた。



苦渋に満ちた表情は何を言いたいのだろうか。



分からない。




腕を掴む手を押しとどめ、私はさっきと同じ笑みを浮かべて玄徳さんを見た。




「・・・・・・花と心ゆくまでお話しできたら、帰ってきます」


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