三国恋戦記夢

□愛を囁く資格が欲しい
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「・・・・・・私、どうしてここにいるんだろう」




花がいて、玄徳さんがいて、あの頃は楽しかった。



でも花が孟徳軍に移って・・・・・・仲謀軍との同盟が結ばれた。玄徳さんと尚香さんの婚姻をもって。




玄徳さん。




今はもう名前を呼ぶことすら躊躇われて。




花と同じようにこの世界に来た私を、花のようには役立てない私を、それでも同じように扱ってくれた優しい人。




大きな手。



大好きな、優しい手。



いつも頭を撫でてくれる手。



―――――あの手で、同じように尚香さんの頭を撫でるのだろうか。頬や、髪や、肩や・・・・・・そのほかの部分も?





肩幅広く鍛えられた体。



厚い胸板。




逞しい腕。




倒れ込みそうに、転びそうになると支えてくれたあの体躯。




―――――あの体で、尚香さんを抱き締めるのだろうか。




・・・・・・苦しい。




苦しくて、息が出来ない。



玄徳さんの顔を見ることすら、つらい。


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