短い小話+ブラコン夢

□拍手小話2
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【小牧教官】



クリスマスなのに玄田隊長ってあり得ないと文句を言って言って言いつくして。



結局特殊部隊の演習に逆らうわけにもいかなくて山登りを終えて山の上で寝る準備を整えた後のこと。




「今日はなおのこきつかった気がする・・・・・・クリスマスなのにー! 手塚もきつかったでしょ?」



「別に俺は・・・・・・きついとかは」





照れたようにぷいっとそっぽを向いた手塚に少し笑って、こみ上げたあくびをかみ殺した。




「あふ…」



「・・・眠いなら、テントに入ったらいいと思いますが…」




「うーん・・・」




ごもっとも、と思いながらもまだ寝るには惜しい時間な気がして返事をごまかす。だってせっかくのクリスマスだし。


でもまぶたはとろりと落ちてきて・・・・・・。


















ふと肩にかかった重みにぎょっとした。





「な・・・・・・」





ぱっと見てみると彼女が俺の肩に頭を預けて寝息を立てだしたところで。





「手塚、ごめん。ちょっと聞きたいことが・・・」





「!?」




びく、としてその声の主・・・小牧教官に目を向けて――――俺は後悔した。




笑顔を固めたその姿は明らかに怒っている。





「……っ」




ダラダラ出てきた冷や汗に焦っていると小牧教官の後ろから顔を出した堂上教官が、む、と難しい顔をして俺の名前を呼んだ。




「手塚。こっちに来い」



「で、でも」



彼女が。



さすがに教官を押しのけていくわけにもいかない。そう思っていると彼女の体が小牧教官の手によって引き取られた。





ほっとしてお礼を言おうとしたその瞬間。





「――――――――」





「!!?」





ぶつけるように彼女の唇に覆いかぶさった小牧教官に目を剥く。




な、んで……っ!?





なんでこんな人目のある場所でこんなこと出来るんだよ?!





「ふ・・・・・・ん・・・・・・? ん、んん……っ!」




息苦しいのか声を上げながら小牧教官の腕を掴んだ彼女に徐々に自分の頬が赤らんでいくのを感じて。振り向いた小牧教官の目は。







「・・・・・・何見てるの、手塚」





「へ・・・・・・え!?」





半ば睨むようにして言われた言葉に一瞬呆けて、それからはっとして立ち上がった。





「す、すみませんでしたっ!!」




















だっと駆けて行った手塚を不憫に思いながら、目の前で恋人の唇から離れようとしない困った同僚に、これだけは、と思って声をかけた。




「・・・・・・小牧。明日山を下りなくちゃいけないんだからな。ほどほどに・・・・・・」





「おぶって山を下りる覚悟くらい出来てるから」





にっこりと笑顔で間髪入れず言われた言葉に。





「・・・・・・そうか」





としか言いようがなくて、俺はたじたじとなりながら踵を返した。




――――耳栓をしてから寝よう。














「・・・・・・」




「あ、ごめん。響いた?」



「・・・・・・だいじょうぶ」




「痛かったらすぐに言ってね。マッサージしてあげるからさ」






これが普段の状況であれば、小牧くんはすごく素敵な恋人だと思う。恋人の体調不良を気遣うとってもいい恋人。



でも。




今はとりあえず口を閉じてほしい・・・・・・。




一人すっきりとした顔で私の体を気遣い続ける小牧くんを恨めしく思いながらふと顔を上げると手塚と目が合った。




でもすぐに真っ赤になってぱっと目を逸らされてしまう。





―――――ていうか何が嫌だって・・・・・・誰も私の体調不良について言及しないことだよね・・・・・・笠原は聞こうとして堂上くんに止められてたし。





(穴があったら入りたい災難なクリスマス)
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