金色のコルダ夢

□響いた音と見つけた音
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どうして、香穂ちゃんよりももっともっと練習してるのに私にはあの音が奏でられないんだろう?


これが、才能の壁?





























ずっとずっとヴァイオリンが弾きたかった。

お年玉を何年分かとお小遣いを貯めてようやく10万集まってヴァイオリンを買う資金が集まったと思ったけど、どこに習いに行くのかとか月謝はどうするだとか、そういった問題で結局うやむやになって立ち消えてしまった。



だから、千載一遇のチャンスだったんだ。





『お前たち、我輩が見えるのか!?』





嬉しそうな顔でそう叫んだ小さな妖精。



リリという名のその妖精は私と香穂ちゃんにヴァイオリンを授けてくれた。


魔法のヴァイオリン。


自転車の補助輪のような役目を果たす、音楽の才能さえあれば誰にでも弾けるというそのヴァイオリンを。



最初上手に弾けたのは私だった。



姉である香穂ちゃんと一緒にセレクションの代表者として選ばれて、時間を惜しんで練習した。


リリから逃げ回るお姉ちゃんと違って私はそのチャンスが嬉しくて、楽しくて、有難くて仕方がなかった。






けど。











「どうして・・・・・・」





セレクションの順位こそ私の方が上だった。



最初のころは。


でも、香穂ちゃんの音色は突然色を増し、金色に輝くきらきらした音色になった。



それは誰をも魅了する音で。






――――どうして。





その音色を奏でたいのに、私には奏でられないの?







第3セレクションが終わって、ヴァイオリンが壊れてしまった。




それから先、私とお姉ちゃんは地道に練習を重ね、まともに弾きこなせるようにはなったけど、前に奏でていた音とは比べ物にならないくらいの音色で。





私とお姉ちゃんを比べたら私の方が上手かった。




でも。




―――でも。




何かが、決定的に、違っていた。




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