遙か四
□運命という名の引力3
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寝ていた。
目を閉じて寝ていたはずだった。
けれど気づけば真上に景時さんがいて、心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「・・・・・・大丈夫?」
どうしてそんな風に気遣われているのか分からなくて、でも体がかたかたと震えてびっしょりと汗をかいているのが分かってもしかすると嫌な夢を見たのかもしれないと思った。……昨日の夢を見たのかもしれないと。
「悲鳴が聞こえたから見に来たんだけど、起きれる?」
灯りをつけようか、と言ってくれた景時さんに向かって小さく首を横に振る。
悲鳴まであげたのか、と暗鬱とした気分で思ってそろそろと景時さんを見上げた。
迷惑に思われていないかうかがうように。
すると彼はふっと優しく目元を和ませて頷いてくれた。
「・・・・・・大丈夫だよ」
耳にしみこむ低い声。
優しく解きほぐす様に紡がれたその言葉は、優しく私の心を包み込んだ。
――――大丈夫。
きっと景時さんのその言葉があったから、私はそのあと熟睡することが出来たんだ。
2013/01/29