三国恋戦記夢
□すれ違う
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「……それで?」
「えーと……玄徳さんはたぶん名無しさんちゃんのことが好きだと思います。名無しさんちゃんも嫌そうではなかったですし」
「……へぇ? ……二人ってさ、恋仲だったの?」
「うーん……付き合ってはなかったと思います。部屋で二人でお茶してるところとかはよく見ましたけど」
「…………部屋に二人でお茶、ねぇ?」
こ、答えれば応えるほど孟徳さんが不機嫌になっていく気がする……なんで!?
それに朝急ぎすぎてて名無しさんちゃんに今日の夜子龍さんが来るって言えてないから言いたいのに……っ。
でも本を見せてもらう代わりに名無しさんちゃんのこと教えてほしいなんて……孟徳さん、どうしたんだろ? ……もしかして孟徳さん、名無しさんちゃんのこと……?
「あ、でも……」
「何?」
「えと……」
言ってもいい、のかな?
でも言ったらまずい気もするし……。
ためらって黙り込む私に孟徳さんは困ったように笑みを浮かべた。
「……そこまで引っぱって今更何もないだなんて言われても、俺逃がさないよ?」
「う……っ!」
……名無しさんちゃん、ごめん!
「あ、あの……玄徳さんとは何もないと思います。だって……名無しさんちゃんは彼氏がいたって言ってましたから」
「彼氏……?」
低く呟いて眼光を鋭くした孟徳さんに、私はさっそく後悔した。
やっぱり言うんじゃなかった!
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