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□暴走して
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「お前はどうしてこんなに怪我をこさえるんだ」
ぐ、っと瞬の眉間によったしわに私は首を竦めた。
「好きでこさえてえるわけじゃ…」
「好きでこさえていたら問題だろう」
「う、はい…」
腕に出来た擦り傷に薬を塗りこんでくれる瞬の顔に、まつげの影が落ちる。
―――綺麗だ。
瞬は綺麗だ。
女である私よりもずっとずっと綺麗だ。
そんな風に思っていたら、瞬がふと私を見上げた。
「――・・・・・・なんだ?」
「う、ううん! 何もないっ」
慌てて首を横に振って私はほんのりと赤らんだ頬を隠すように俯いた。
―――瞬が好きだ。
薬の在庫をよみながら、俺は傷薬が数少なくなっているのを見て補充しなくてはと思った。
―――あいつはよく怪我をこさえるから。
おてんばなのも男勝りなのも別にいいが、怪我をこさえてくるのはどうかと思う。
毎度毎度心配しながら治療するこちらの身にもなってほしい。
―――女なんだから体に傷をつけるな、と言いたい。
・・・・・・最近、彼女の動向が気になる。
過保護だとわかっていても、こけないように手を伸ばしたくなる。
これがどういう感情かわかっていながら無視してきたつもりだったのに……無視できないほどに、感情が、大きくなりすぎて・・・・・・。