遙か夢弐
□幸せひと時
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二人で月を見上げながら晩酌をしていた。
「んー……」
「ん…眠く、なってきたのかい?」
低くて耳通りのいい声に私は小さくこくりと頷いた。
もともとあまりお酒には強くないし、今日の戦闘で疲れていたこともあって眠くなってきた。
寒くも暑くもない気温が眠気を倍増させる。
「布団を……名無しさんちゃん?」
「少しだけ……」
こてんとその場に横になる。
ひんやりとした板の間が心地よくて私は頬をべたりとつけながら瞼を閉じた。
「風邪を引くよ、ねぇ……」
小さく揺り動かされる感触と、困ったような桜智さんの声を聴きながら、私はぼんやりと意識がかすんでいくのを感じた。
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