□06 A -彼は言った、"賭けようか"と。T-
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むにーー、
片方だけ伸ばされた頬。
意図は全くの不明。
取り敢えず痛いから、言葉にしたものの目の前の彼は難しい顔をするだけ。


「……どうしたらソレ、止めてくれるのかな」


それはこっちの台詞だ。"眸を覗き込む"から、"睨みつける"に進化したプレッシャーを与えてみるけれど、効果はない。


「敬語、使われると距離を感じるよ」


だって事実距離があるのに。
片や一ライダー。
片やキングオブフレイムロード。
というか、私をライダーと言うことすら烏滸がましいのだから、もっと距離が開いて仕舞う。


……あれ?
"仕舞う"ってなんだ?
まるで私が残念がってるような。


「はは、表情がころころ変わるんだね」
「む。」
「頬、まだ痛い?」
「あ、いえ」
「ごめんね。あんまり柔らかそうだったから」
「…」
「おでこもスベスベ、だったし」
「……!」


きゅ。
思わず手を握ってしまったのは、遠回しに昨晩の話を持ち出されたから?
それとも……


「…しっかり、掴まっててね。」


来るから、と、険しい表情をした原因が分かってしまったから?


「お店で、喧嘩した……人…達だ」



 
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