□02 A -白昼生活-
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そっか、とちょっとだけしょぼんとした和子がやたら可愛く見える。元々美人な子なのだ。目の周りが黒かろうと、美人は簡単には崩れないらしい。
「可愛いやつめッ!」
ぎゅう、と抱きしめてみる。
「ぎゃーとりこのえっちッ!」
「良いではないか良いではないか」
他愛ないやり取りがとっても楽しい。例え私が親無しでも。バイトでしか生活を立てられなくても、だ。
友達ってとっても偉大。
「ええー?とりこ行かないなら私と行こーよ和ちゃあん」
――友達の皮を被った例外はいるものの。
「あー別に今日行きたかった訳じゃないからさ、」
「えぇー?!愛子と一緒なら絶対楽しいよ?!」
「…悪いけど。」
じっとりとした愛子の視線は見て見ぬフリ。和子のプリを見て楽しんでいると。
「…とりこ、今日もバイトなんでしょ?大変よねー生活」
「ちょアンタ……」
和子は言い掛けて、ぐっと口をつぐんでくれた。
“私のことでは怒ったりしないで”って約束は友達と必ずする。私の境遇は庇われる程に惨めになるから。
周りが思うほど、私は不幸じゃない。