□01 A -レイニーナイト-
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今宵はブルームーン。
雨なのに満月が綺麗に見えている所も私のテンションを大いに上げてくれた。
「ふんふーんふん♪」
雨が、月明かりに光る。
後方宙返りでキメながら、そのキラキラに目を細める。
ザザザ――…ッ
「ぎゃッ?!」
その気分は長く続かなかった。
大雨。
ATの動力を相殺以上の力で押し返されて、ジャンプは無茶苦茶に押し戻された。
いくらATのバランス感覚に慣れてきた頃だと言ったって。
不意打ちの大雨といきなり陰った月明かりに、私が対応できる訳なくて。
墜ちる!と、身体を強張らせてしまっては益々墜ちるスピードを速める。解ってはいるのに、立て直せない体勢。
暖かい風に包まれたのはその時だった。
身体が浮く。
差し出された腕の中に収まっていることに気がついく頃には、自分の脚で地面に立たせて貰っていた。