□20 D-不穏の音が鳴る-
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「本気ですか海人さん…」


私と刑事さんを交互に見て、今日この数十分間で何度目かの確認。
宇童さんのその質問に、刑事さんは不機嫌と嫌悪感を思いっきり顔に貼りつけた表情で銃を構えた。


「…っわかってますって!でも年頃の女の子ですよ?!…ぶっ」


私よりも必死に刑事さんに食って掛かる様子は他人事、というか別の次元の話のようだった。
そういえば初めて身体検査をされたときには、宇童さんはいなかった。
だからだろうか、刑事さんと私、対して宇童さん。二つの纏う雰囲気が少し違う。

刑事さんとのにらみ合いを続ける宇童さんを意図せず凝視していると、突然その姿がカーテンの奥に消えた。


「もういい、お前はあっち行ってろオイ脱げ」


声低く告げる刑事さんの科白は、宇童さんに言い放ったであろう言葉。
の、はず。


「……」
「…」
「…チッ」
「っあ!え?!今の私にですか!」
「カーテンの向こうでアキラに服脱がせて何の意味があるのか10字以内で答えろ」
「……ありません…」


項垂れる間もなく、着ていたロンティを思い切り引っ張り上げようとする苛ただしげな手をなんとか押されて、「自分で脱げます」と回れ右で刑事さんに背を向ける。


「性悪だけど…優しい、と思います、涼は」
「…」
「…信用してないんですか…?」
「マル風にライダー信用しろってか?」
「そうは言ってません、けど…涼は、人として……あの人達とは違う…から」


 
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