□01 A -レイニーナイト-
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腕を突っ張る。
それは人との距離を測るため。



というか今はこの人との距離を取らなければマジで危ない。
身の危険を身体中が脳に発信しているもの。


「ちょちょちょ、」
「あれ?約束が違うよ?」


にーっこりと。
無邪気な笑顔を纏ったその顔に、微かに期待した私がバカだった。私の頬が僅かに引き釣った一瞬で、突っ張っていた腕を引き剥がされ。


「だって!」
「負けたからって言い訳はしないよね?」
「う…」


すすす、と首から顎のラインを撫でる指に首を竦めると、艶やかに笑う。
もうそのフェロモン何とかしてください!
こんな小娘に勿体ないから!
もっとナイスバディでお色気が妖気の如く出ている大人の女性を相手にしてくださいぃい!!


「…くそぉおーー…」


シムカさんみたいな…
とか言える訳ないけどさ。








さて、事態は数日前に遡る。
私は雨の中ATで飛び回るのが好きだ。
疾風く走れる訳でもないし凄いトリックもできないけど、どんな娯楽より楽しい。

―そして今日は雨だった。

小雨がしとしとと気持ちイイ。



 
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