□07 A -彼は言った、"賭けようか"と。U-
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「ホント私の事はいいですからぁあ!おいつっ追いつかれます絶対これえぇえ!!」
と言うのも。
ATを履いてすらいない私を横抱き、もといお姫様だっこで逃げ切るつもりらしい彼のせいだ。
「ん…君は彼らに捕まったらどうなるか分かってるのかい?」
分かってます。
とすんなり言葉が出てこなかったのは、その人の表情が余りにも心配そうなものだったから。
「、…っ」
そんな事を考えていたものだから、結局何も答えられなかった。
その反応に心配そうな表情が一層深くなり。
「大丈夫、逃げ切れるよ」
「だってもう…!」
後ろに迫る、RIZEの面々。
ただ、炎の王の走りには付いていくだけがやっとらしい。
トリックは最初の一撃から一度も出ていなかった。
「…な…―…ようか。」
「え…っ?!」
風の抵抗音で、良く聞き取れない。
声を張り上げてもう一度と促せば、唇が耳に触れた。
「これ以上君に傷は付けさせない。」
「……う?!」
「不安なら賭けようか。追い付かれた時は、僕が代わりに彼らの制裁を受けるよ。」
「追いつか、れなかったら?」
「そうだな……………雨夜の散歩が好きな、小鳥のキスを頂こう」