□14 C -眠りの森の二獣-

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バイト後、凄まじい早さで向かった先。
我らが母校。


「あれ、メールだ」


夜闇に溶けた学校の雰囲気に飲まれていると、制服のポケットから場違いな着信音が鳴った。




XX/23 21:09
FROM スピ
SUB お疲れさま
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今日はバイト何時まで?
疲れていなかったらボルケーノ
のバトル見においで。





「…どこに?」


学校に着いたピッタリのタイミングでメールが来たことは置いといて、アドレスはこないだ交換したから知ってて当たり前だし(朝もおはようって来た)


でも場所は…?
え、ツッコミ待ち?


「えぇ…っと、ご、め、ん今日、は…」


敢えてそこには触れずに、行けない旨だけを伝えて携帯を閉じる。
キョロキョロと辺りを見回すと上の方から軽い風圧と共に声がかかった。


「あ、山本君!」
「とりこちゃん!ビックリした!綺麗に走るね?!」


どこから飛んできたのか、私の前に着地して地面を一蹴り。
促すように回りを一周するから、私もゆっくりとコンクリのトラックを蹴り出した。


「和子達はもう来てる?」
「うん、…けど和子ちゃん以外は……凄まじいよ?」


私は肩を竦めて笑った。
そりゃそうだよ、バランスはインラインの要領で取れるけれど、強く蹴り出せばあっという間に小型モーターが主導権を握ってしまう。
身体がついていくにはそれ相当の時間がかかって然りだ。


「和子ちゃんは辛うじて走れる。他の子はバランスも取れてないよ、ホラ」


指先の更に先。
愛子と亜実が同時に転けた。


「わっ痛!」
「大丈夫。メンバーがマンツーで付いてるし、結構楽しんでやってる」


思わず目を覆うと、山本君は笑いながら目を覆った手を解いてくれた。
成る程、そこに地面と熱烈キスという光景はなかった。
…けど。


「お熱いね」
「何組かカレカノ出来てそうだよな」
「うん」
「とりこちゃんもする?練習」
「私はいいや」


手を繋いで走る練習ってのは今更ちょっと恥ずかしい。
涼は我が子を谷に落とす感じの教え方だったし、鵺君もそういうタイプじゃない。


「あれ?練習、しにきたんだと思ってたけど」
「…うーん」


私は曖昧に答えてから、今日の昼間を思い出していた。
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