□04 A -王達の暇潰しU-
3ページ/5ページ

 







…あれ?
嘘みたいに静かになってしまった店内。ジェネシス幹部の遊び声すら聞こえない。
流石に不思議になって彼らの視線を辿れば。









「そうだね、彼女の方が正論だ。」









…昨日の、人だった。
(そういえば今、風が吹いたような。)










「あ、スピ君だ!」
「なんやーぁあ。スピットファイア、そーゆう程度の低い喧嘩にワイらが口ん出したらあかんやろが。おもろくなりそうやったのに」
「あはは、それはすまないね。…でもさ、レディが困ってるのに放って置けないだろ?」


一応隠しもっていた大きめのフォークを、腕ごと持ってかれた。嫌味なほど綺麗な笑顔付きで。


「ダメだよ、こんな危ないモノ持ってちゃ」


スピットファイアの指先がゆっくりとフォークを取り去って、代わりに降りてきたのは形の良い唇。
だったのだけど。
思い切り手を突き出したお陰でその唇がぐにゃりと歪んだだけで止まってくれた。


「……」
「…あ、ご…ごめんなさい」
「…そう思うなら、手離して………」
「それはイヤです」


相変わらず手の力は緩めずに言う。



 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ