Novel FA
□君と共に
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「兄さんも行くことないだろッ!!!」
思わず悲痛に叫んでしまった。予想外だったから。だって僕たちは一緒に……共に居るべきだと思っていたから。
「兄さんッ兄さんッ!」
奥に消えてゆく心から探し求めた人。
なんで?
なんで?
わからない。僕はずっと兄さんを探していたんだよ?
「離せ!!!」
無我夢中で大佐の腕を振り払って、兄さんのところへ。
とっさに鎧に入り込む。異様に身体がざわつく。門を抜けているのか?
に
ぃ サ、
ん
ぅわあああああぁぁぁぁ!
「軍の狗になって身 を取 戻す」
「お前が俺 恨んでるんじ ないかって」
「賢 の石の材料は――生きた 間だ」
「何故な ホムンクルスは……人では いから」
「アルに触るなっ!!!」
「嘘だ!兄さんが死ぬはずない!」
「お前が消えちまうことないんだ。戻って来いアル」
兄さん!!!!
頭が割れるような痛みで悶絶する。これは大事な兄さんとの旅の記憶。欠落していた宝物。
ぽたぽたと涙が落ちていた。痛みからの涙ではなくずっと僕を守ってくれていた兄さんへの感謝の涙。
本当にありがとう。そしてこれからは僕の番だね。
意識がはっきりしていく。此処はどこだろう――